つらつら

日々の記録

視聴『ジャックは一体何をした?』

今日は平日の終わり。夕食後も少し余裕があったのでNETFLIXに来たばかりのデヴィッド・リンチの短編を観た。

全編モノクロ、お猿のジャックが殺しの疑いでリンチ演じる刑事に取り調べられる。猿と鶏の間にあった愛憎とは。…みたいなことはさっぱりわからず、思いつくままに書いた散文か脚本か詩をセンテンスごとに切り離してシャッフルしたかのように2人(?)の会話は噛み合わない(でも微妙に互いの発するタームはリンクして会話は進んでいる)。

お猿の口元は雑な合成で、老人の口元が重ねられている。この合成の雑さ加減…思いおこすのは『ツインピークス The Return』。カイル演じるクーパーも宇宙に行ったり空を飛んだり地上にはコンセント口から吐き出されたり、変な造形の喋る木が出てきたり、色々不自然なことばかり。しかしこの変の塊のようなTVシリーズは不可思議ゆえに虜になる。人の想像力って、なんでもアリなんだな、なんて感じる。そしてカラっと抜けがよく、パキッとした色彩の画面がめちゃめちゃかっこいい。映ってるものもやたらかっこいい。

TVシリーズを観た後、洋泉社ツインピークス 読本を読んだり、ネットで色々探して記事も読んで、それらの考察にはなるほど、と思い、発見もあり、読み解きの面白さを感じつつ、やっぱり訳わかんないや、っていう余分なところが残り続けるのがとても魅力で。

映画人や芸術家が「この作品に込められたメッセージは?意味は?」と問われて、「言葉で答えられるなら言葉に簡潔にまとめてるよ、そうじゃないから作品を作ってるんだし、それを観て感じて欲しい」という趣旨のことを言ってることがある。

まあ、そうだな、と、そしてリンチの作品はとりわけそうだな、と。過剰さ、訳のわからなさ、容易に真似できないし、下手に真似するとただただダサくなる、ユニークさ。ああ変なもの観られて満足。そしてそこはかとなくカッコ良い画なのがまた憎いな、と思う。